- (個人情報)
- Q1-14
店舗や、駅・空港等に設置し、カメラにより画像を取得し、そこから顔特徴データを抽出して、これを防犯目的で利用する(顔識別機能付きカメラシステムを利用する。)ことを考えています。個人情報保護法との関係で、従来型防犯カメラを利用する場合の留意点(Q1-13)に加えて、どのような点に留意する必要がありますか。
- A1-14
個人情報取扱事業者は、顔識別機能付きカメラシステムにより特定の個人を識別することができるカメラ画像やそこから得られた顔特徴データを取り扱う場合、個人情報を取り扱うことになるため、利用目的をできる限り特定し、当該利用目的の範囲内でカメラ画像や顔特徴データ等を利用しなければなりません。
具体的には、どのような個人情報の取扱いが行われているかを本人が利用目的から合理的に予測・想定できる程度に利用目的を特定しなければならないため、従来型防犯カメラの場合と異なり、犯罪防止目的であることだけではなく、顔識別機能を用いていることも明らかにして、利用目的を特定しなければなりません。
顔識別機能付きカメラシステムを利用する場合は、設置されたカメラの外観等から犯罪防止目的で顔識別機能が用いられていることを認識することが困難であるため、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」(法第21条第4項第4号)に当たらず、個人情報の利用目的を本人に通知し、又は公表しなければなりません。また、顔識別機能付きカメラシステムに登録された顔特徴データ等が保有個人データに該当する場合には、保有個人データに関する事項の公表等(法第32条)をしなければなりません。なお、法第20条第1項に関する留意点はQ1-13のとおりです。
加えて、上記のとおり利用目的の通知・公表をしなければならず、また、本人から理解を得るためできる限り分かりやすく情報提供を行うため、顔識別機能付きカメラシステムの運用主体、同システムで取り扱われる個人情報の利用目的、問い合わせ先、さらに詳細な情報を掲載したWebサイトのURL又はQRコード等を店舗や駅・空港等の入口や、カメラの設置場所等に掲示することが望ましいと考えられます。
さらに、照合のためのデータベース(検知対象者のデータベース)に個人情報を登録するための登録基準を作成するに当たっては、対象とする犯罪行為等をあらかじめ明確にし、当該行為の性質に応じ、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報が登録されることのないような登録基準としなければなりません(法第18条第1項)。例えば、犯罪行為等の防止を目的とするときは、登録基準の内容(登録対象者)は、当該犯罪行為等を行う蓋然性が高い者に厳格に限定し、登録時にも当該犯罪行為等を行う蓋然性があることを厳格に判断することが望ましいと考えられます。また、登録事務を行ういずれの担当者においても同様の判断を行うことができる文書化された統一的な基準を作成するとともに、当該基準に従って一定の運用を行うことができる体制を整備することも重要です。
駅・空港等で顔識別機能付きカメラシステムを利用する場合については、「犯罪予防や安全確保のための顔識別機能付きカメラシステムの利用について」(個人情報保護委員会、2023年3月)も参照のこと。
(令和5年5月更新)