大学等の学術研究機関等と民間企業や私立病院等が、学術研究目的の研究を共同で行う場合における個人情報の取扱いに関して留意すべき点を教えてください

(適用除外)
Q11-6

大学等の学術研究機関等と民間企業や私立病院等が、学術研究目的の研究を共同で行う場合における個人情報の取扱いに関して留意すべき点を教えてください。

A11-6

個人データを第三者に提供する場合には、原則として、あらかじめ本人の同意を得る必要がありますが(法第27条第1項柱書)、法第16条第8項に規定する学術研究機関等が共同研究を行う第三者(学術研究機関等であるか否かを問いません。)に対して個人データを学術研究目的で提供する必要がある場合(法第27条第1項第6号)や、個人情報取扱事業者が個人データを学術研究目的で取り扱う必要がある学術研究機関等に対して提供する場合(同項第7号)は、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがない限り、法第27条第1項柱書に規定する本人の同意を得ずに個人データを提供することができます。

ただし、当該共同研究の目的が営利事業への転用に置かれているなど、必ずしも学術研究目的とはみなされない場合には、提供に当たってあらかじめ本人の同意を得る必要があることに留意が必要です。

また、学術研究目的とはみなされない場合であっても、例えば、公衆衛生の向上に特に必要がある場合で本人の同意を得ることが困難であるときは、あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データを第三者に提供することができます(法第27条第1項第3号)。

なお、学術研究機関等の自律性に鑑みれば、学術研究機関等の自律的な判断を原則として尊重する必要があると考えられることから、学術研究機関等が、個人情報を利用した研究の適正な実施のための自主規範を単独又は共同して策定・公表した場合であって、当該自主規範の内容が個人の権利利益の保護の観点から適切であり、その取扱いが当該自主規範にのっとっているときは、法第149条第1項の趣旨を踏まえ、個人情報保護委員会は、これを尊重することとされていますが、自主規範にのっとった個人情報の取扱いであっても、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合には、原則として、個人情報保護委員会は、その監督権限を行使することとされています(ガイドライン(通則編)7-2参照)。この点、医学系研究等に関する指針としては、例えば以下が定められています。

  • 〇人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)
  • 〇遺伝子治療等臨床研究に関する指針(厚生労働省)
  • 〇ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針(文部科学省、厚生労働省)
  • 〇ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針(文部科学省、厚生労働省)
  • 〇ヒトES細胞の分配機関に関する指針(文部科学省)
  • 〇ヒトES細胞の使用に関する指針(文部科学省)
  • 〇ヒトiPS細胞又はヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針(文部科学省)
(令和4年4月更新)
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