防犯カメラに映った偽造キャッシュカードの実行犯の映像を本人の同意なく他の金融機関に提供することは、個人情報保護法上問題がないか。

5 第三者提供等

Q5-1

防犯カメラに映った偽造キャッシュカードの実行犯の映像を本人の同意なく他の金融機関に提供することは、個人情報保護法上問題がないか。

A5-1

防犯カメラに映った映像情報も、それによって特定の個人が識別される場合は、「個人情報」に該当します(個人情報保護法第2条第1項)。

その場合、原則として個人情報の利用目的を本人に通知又は公表しなければなりませんが、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」には、その利用目的を公表等する必要がないとされており(個人情報保護法第 21 条第4項第4号)、一般に、防犯目的のためにビデオカメラを設置し撮影する場合は、「取得の状況からみて利用目的が明らか」であると認められるものと解されます。

ただし、特定の個人を識別できる防犯カメラの映像情報を他の金融機関に提供する場合については、「取得の状況からみて利用目的が明らか」であり、利用目的の範囲内といえるかは、状況に応じ判断されることになります。

しかし、仮に当該情報提供が利用目的を超えた利用に当たるとしても、偽造キャッシュカードの実行犯の映像情報を他の金融機関に提供する場合は、個人情報保護法第 18 条第3項第2号(人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき)に該当するため、本人の同意を得ることなく当該映像情報を他の金融機関に提供することができるものと考えられます。

なお、特定の個人を識別できる防犯カメラの映像情報は「個人情報」には該当しますが、特定の個人情報を検索することができるように「体系的に構成」されたものでない限り、個人情報データベース等には該当しないと解されます。すなわち、記録した日時について検索することは可能であっても、特定の個人に係る映像情報について検索することができない場合には、個人情報データベース等には該当せず、個々の映像情報は「個人データ」には該当しないと解されます。また、仮に個々の映像情報が「個人データ」に該当し、個人情報保護法第 27 条の第三者提供の制限の規定の対象となる場合であっても、個人情報保護法第 27 条第1項第2号(人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき)に該当するため、本人の同意を得ることなく当該映像情報を他の金融機関に提供することができるものと考えられます。

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