なぜ公的規律では、利用目的のための利用又は提供において本人の同意が不要なのか。民間規律(法第4章)と公的規律(法第5章)の考え方の違いについて教え てほしい。

個人情報の保護に関する法律についてのQ&A(行政機関等編)

3 個人情報等の取扱い
【3-3 提供の制限】
Q3-3-4

なぜ公的規律では、利用目的のための利用又は提供において本人の同意が不要なのか。民間規律(法第4章)と公的規律(法第5章)の考え方の違いについて教えてほしい。

A3-3-4

民間規律は、「個人情報データベース等」による個人データの取扱いの危険性に着目し、それを事業の用に供している個人情報取扱事業者に対し、その適正な取扱いを担保するための義務等を規律しています。そして、個人情報取扱事業者自身のガバナンスにより法律に定める義務が適切に履行され、当該個人情報取扱事業者から本人への通知・公表・同意取得等により本人による適切な関与・監視を受けつつ、適正な取扱いの実現を期待するという当事者間での自主的な規律を重視する構造となっています。

他方で、公的規律については、行政機関等の保有する個人情報は公的信用を背景に収集されるものや取得プロセスにおける義務性・権力性が高いもの、秘匿性が高いものが多いといった特質があり、散在情報を含む「保有個人情報」をその規律の対象としています。 そして、上記のような保有個人情報の特質を踏まえると、行政機関等は本人による関与・監視を受けにくいと考えられます。また、仮にその取扱いについて本人同意を必須とすると行政目的を達成する上で支障が生じる場合があります。そのため、公的規律は、法律による行政の下、法令に定める所掌事務又は業務の遂行に必要かどうかを重視しつつ特定した利用目的のための利用又は提供を原則とする構造となっており、本人同意に必ずしも依拠することとなっていません。

なお、公的規律においては、行政機関等は、その外部に情報の提供が行われた後も、提供先での情報の利用・管理について一定の責任を負うこととなっており(法第70条)、提供元である行政機関等の関与によっても適正な取扱いの確保が図られています
(令和7年12月追加)

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