訂正請求を行う者に対して、当該請求の内容が事実に合致することを証明する資料の提出又は提示を求めることはできるか。また、これを認める法施行条例の規定を設けることはできるか。

個人情報の保護に関する法律についてのQ&A(行政機関等編)

5 開示、訂正及び利用停止
【5-8 訂正及び利用停止】
Q5-8-1

訂正請求を行う者に対して、当該請求の内容が事実に合致することを証明する資料の提出又は提示を求めることはできるか。また、これを認める法施行条例の規定を設けることはできるか。

A5-8-1

法法第 90 条第 1 項は、何人も、自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと思料するときは、当該保有個人情報の訂正を請求することができることとしているところ、請求者が訂正請求に係る保有個人情報の内容を事実でないと考える根拠を示すことを超えて、当該請求の内容が事実に合致することを証明する資料を提出又は提示しなければならないこととすることは、当該請求者に対して一方的に当該請求の内容が事実に合致することの立証責任を課すこととなり、例えば、当該資料を行政機関等のみが保有している場合などにおいて、訂正請求ができる場合を実質的に制限するものであると考えられます。そのため、訂正請求を行う者に対して、当該資料の提出又は提示を求めることはできません。また、法第 108 条は、訂正の手続に関する事項について、法第 5 章第 4 節の規定に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができることとしていますが、訂正請求を行う者に対して、当該請求の内容が事実に合致することを証明する資料の提出又は提示を求めることは、訂正請求ができる場合を実質的に制限するものであるため、訂正の手続に関する事項であるとはいえず、これを認める法施行条例の規定を設けることはできません。

なお、一般に、訂正請求を行う者は、開示を受けた保有個人情報のうち、①どの部分の表記について、②どのような根拠に基づき当該部分の表記が事実でないと判断し、③その結果、どのような表記に訂正すべきと考えているのか等、請求を受けた行政機関の長等が当該保有個人情報の訂正を行うべきか否かを判断するに足る内容を、当該行政機関の長等に自ら根拠を示して明確かつ具体的に主張する必要があります。そして、訂正請求を行う者から明確かつ具体的な主張や根拠の提示がない場合や当該根拠をもってしても当該請求に係る保有個人情報の内容が「事実でない」とは認められない場合には、法第 92 条の「訂正請求に理由があると認めるとき」に該当しないと判断することとなります。
(令和 4 年 4 月更新)

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