藤原 靜雄 委員長

藤原 靜雄 委員長

個人情報保護委員会は、平成28年1月1日に、前身の特定個人情報保護委員会(平成26年1月1日設置)を引き継いで設立された、高い独立性を持つ国の行政機関です。いわゆるデジタル社会形成整備法が令和5年4月1日に全面施行されてからは、委員会は公的部門と民間部門とを、また国と地方とを問わず、我が国における個人情報の適正な取扱いの確保を図る役割を担っております。我が国全体の個人情報保護法制の司令塔とも呼ぶべき存在となっています。

個人情報保護法制を取り巻く状況が、人知を超えるのではないかと言われる生成AIの登場、ますます高度化する情報技術の展開により一層複雑化する中で、個人情報保護委員会は、平成26年から数えれば、令和6年で10年の節目を迎えたことになります。

個人情報保護法という一本の法律と個人情報保護委員会という一つの機関による監視・監督に一元化されたわが国の法制の下で、国による法の運用、地方公共団体による法制の運用をいかにコントロールしていくか、グローバル化した国際社会における個人情報保護法制の調和・国際的枠組みの構築にどのように寄与していくかなど、委員会は多くの喫緊の課題を抱えております。委員会の所掌事務が拡大された意味を肝に銘じ、これらの課題に向かい、我が国の個人情報保護法制の司令塔としての役割を適切に果たすべく努めなければならないと考えております。

今日、洋の東西を問わず、個人情報は「産業の米」とも呼ばれ、その利活用が期待されていますが、同時に個人情報の保護は個人の人格を守ることであり、ひいては民主主義を守ることでもあります。個人情報の保護と利用というベクトルの違う要請をいかに調和させるかは、個人情報保護の問題に携わる者すべてに向けられた問いですが、委員会は適切な解を求めて不断の努力をする必要があると思っております。

個人的にも、長く情報法制の研究に携わってきた者として、国内外における個人情報保護委員会のプレゼンスを高めるべく研鑽を積みたいと存じます。

略歴

昭和61年3月 一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学
平成8年4月 國學院大學法学部教授
平成14年7月 法学博士(一橋大学)
平成15年4月 國學院大學法学部学部長
平成16年4月 筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
平成23年4月 中央大学大学院法務研究科教授
平成25年11月 中央大学大学院法務研究科長
平成31年1月 個人情報保護委員会委員
令和6年1月 個人情報保護委員会委員長