第47回世界プライバシー会議(GPA)

手塚委員長、浅井委員、石井専門委員、水島専門委員等が第47回世界プライバシー会議(GPA)に出席

令和7年9月15日(月)から同年9月19日(金)まで、韓国・ソウルで開催された第47回世界プライバシー会議(GPA)に、当委員会より、手塚委員長、浅井委員、石井専門委員、水島専門委員等が出席しました。

  1. 1 会議全体について

    「日常生活におけるAI:データとプライバシーについて(Artificial Intelligence in Our Daily Lives: Data and Privacy Issues)」をテーマとして韓国個人情報保護委員会が主催しました。

    初日のサイドイベントやレセプションに続き、2・3日目はオープンセッションが行われ、GPAの各参加国・地域のデータ保護・プライバシー機関、民間企業、学識経験者等、65か国・地域から1,200名超が参加。4・5日目は各国・地域のデータ保護・プライバシー機関のみが参加するクローズドセッションが開催されました。

    1. (1)オープンセッション(9月16~17日)

      開会挨拶において、韓国個人情報保護委員会のコ・ハクス委員長は、AIとデータ活用の課題は国境を越えて同時に発生しているが、個々の国・地域だけでの対応では限界があることに触れつつ、AIの恩恵が世界に均等に行き渡らなければ、恩恵を受けられない国がより大きな格差やリスクにさらされる可能性を指摘しました。

      開会式に続き、AIを中心に15を超える基調講演やパネルセッション等が行われました。AI開発が急速に進む中でのデータガバナンスやデータ保護法の在り方、越境データ移転における相互運用性拡大、データ保護を確保しつつイノベーションを促進するため仮名化データや合成データを医療分野等において活用することへの期待、世界的にデータ保護・プライバシー機関が新設される中での課題や支援策、といったテーマについて議論が行われました。

    2. (2)クローズドセッション(9月18~19日)

      クローズドセッション(GPAメンバー及びオブザーバーのみ参加可能)では、AIやデジタル市民権に関する3本の決議が、有志国・地域によって提出されたほか、議長や執行委員の選出、今後の開催国や新規加盟メンバーといったGPAの組織運営についての議論が行われました。また、執行や教育分野における各ワーキンググループからの活動報告も行われました。

  2. 2 当委員会からの発言等
    1. (1)オープンセッション「データ越境移転における相互運用性の拡大」への登壇

      AIの普及により、国境を越えて膨大なデータ処理が行われる中、各国・地域の法制度間における、相互運用可能で自由・安全な越境データ移転メカニズムをどのように確立していくか議論が行われました。日本からは、浅井委員がパネリストとして登壇し、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)推進における日本のリーダーシップ、無制限なガバメントアクセスがデータの自由な流通を阻害し得るものであること、多様な越境移転ツールの中から事業者が最適なスキームを選択できる環境整備の重要性、イノベーション促進の必要性等について発信しています。

    2. (2)クローズドセッション「ターゲティング広告:新たな課題」への登壇

      ターゲティング広告は、個人の行動データ収集や分析が高度化する中、アプリやウェブの運営者や広告主等、複数の利害関係者が関与する複雑な仕組みで成り立っているが、潜在的リスクや影響についてユーザーへの情報提供が不十分で理解が促進されていないことにつき、各国の法制度、規制、教育といった観点から議論が行われました。日本から、石井専門委員がパネリストとして登壇し、日本の制度等を説明しつつ、ユーザーへの啓発の重要性や課題等について発信しています。

  3. 3 他国データ保護機関等との会談

    本会議と並行し、下記の個人情報保護機関と会談を実施し、意見交換を行いました。

    【手塚悟委員長】
    1. (1)カナダ プライバシーコミッショナーオフィス デュフレーヌ委員
    2. (2)スイス 連邦データ保護情法委員 ロブシガー委員
    3. (3)韓国 個人情報保護委員会 コ委員長
    4. (4)アルゼンチン 公開情報アクセス庁 アンカレナ長官
    【浅井祐二委員】
    1. (5)シンガポール個人データ保護委員会 ルー委員
    2. (6)英国データ保護機関主催「被十分性認定国ラウンドテーブル」
  4. 4 次回会議予定

    次回会議(第48回)は、令和8年秋、アラブ首長国連邦ドバイにて開催予定。

  • パネルディスカッションで発言する浅井委員
  • パネルディスカッションで発言する石井専門委員 (壇上向かって右から2番目)
  • 開会式の様子
  • 委員長とカナダOPCとの会談
  • 浅井委員(左)と手塚委員長(右)
  • 水島専門委員

※ 第47回世界プライバシー会議(GPA)決議 Adopted Resolutions – Global Privacy Assemblyリンク先コンテンツを別ウィンドウで開きます

  1. (1)Resolution on the collection, use and disclosure of personal data to pre-train, train and fine-tune AI models
    (AIモデルの事前トレーニング・トレーニング・調整のために収集・利用・開示される個人データについての決議)
  2. (2)Resolution on meaningful human oversight of decisions involving AI systems
    (AIが関与する意思決定に対する、人間による有意義な監督についての決議)
  3. (3)Resolution on Digital Education, Privacy and Personal Data Protection for Responsible Inclusive Digital Citizenship
    (責任あるデジタル市民権の実現に向けた、デジタル教育・プライバシー・個人データ保護に関する決議)